STEM教育とSTEAM教育 Aの意味

STEMやSTEAM

言ったもん勝ち的なバズワードと捉えるのではなく、論文などを追って「ことば」の定義を押さえていくことが大事です。

(知り合いのところで盛り上がっていたので)

まず、学術レベルでは全然STEAMは無いんです。STEMです。

STEMはEが軸となった収束的(探究・問題解決的)な教科横断的活動。


そこに入ってきたA。


これは文科省がSTEAMと(書いてしまった?)背景を絡めずに出してしまったから・・・。丁寧に単語は扱ってほしいですよね。今後はSTEAMも何だかんだで学術的にどんどん書かれることにはなるでしょう。

Aは、STEMと比べると拡散的な思考であり、活動の起点となる部分での内容を押さえる部分でAが発揮される。


つまり、 [A⇄E(S+T+M) →] とでも書けるかな。


参考論文に挙げた大谷先生は、「A=ありたい自分の姿」と述べられたようです。

個人的に、Aについては、特別な教科道徳とも近いと思ってます。


価値判断を評価するのではなく、自分と価値との関係性をどう考えていくのか?という部分が道徳では大事で、STEMに絡むAも、自分とモノ・技術をどう捉えるのか?という関係性を担う部分がAではないでしょうか。


教科領域的な「技術」には価値創造と社会性などが入ってくるので、Aとの差異を考えたならば、個人・個性といパーソナルな部分がAと言えるかもですね。そういう意味で、大谷先生のA=ありたい自分の姿 というのも納得かもです。


STEAM教育における"A"の概念について 辻合他

https://www.jstage.jst.go.jp/.../44/2/44_93/_pdf/-char/ja


STEM/STEAM教育をどう考えればいいか 大谷

https://www.jstage.jst.go.jp/.../2/45_93/_article/-char/ja/

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GIGAスクール構想 推進していく3つのポイント

ICT活用やGIGAスクール構想を進める時、

 「枠を設け」「禁止をつくり」「子どもたちを思考停止にする」

 「大人の言うことを聞かせる子どもをつくる」・・・

これが、旧来のICT教育の弊害。(まぁ、教育全体の傾向ではありますが・・)

 

「考えさせること」「子どもたちが決めること」「見守ること」

「子どもを1人の人間として認めていくこと」

ICTやGIGAの話を超えて、学校では大事にしたいですよねぇ。

 

その上で、公立学校などで推進していくためには3つの要素が必要だと自分は考えています。

 ①ICT活用をフリーダムではなくリバティを目指す方向性の共有(職員・子ども・家族と)

 ②リバティな活用を前提にした見まもりができる仕組み・環境づくり

 ③教員や保護者のリテラシー向上(家庭や子どもたちのスキルや常識は既に学校生活の感覚のはるか上を行っているので)

ハードルはありますが、いい形でGIGAスクール構想が進んでほしい。。

 

そんな、あれやこれや困っている先生方にオススメしたいのが、先生方は授業で以下のカリキュラム動画を活用してほしい。道徳でもイケます。

大人、先生方、保護者、は心から観てほしい。参考にしてほしい。(特に管理職の先生・教育委員会レベルの皆さん!!)

↓デジタルシチズンシップ カリキュラム

https://www.youtube.com/playlist...

(個人的には小学校中学年〜高学年のあたりは、普通に小学校で使えるものばかり!)

↓ 国際大学GLOCOM 豊福 晋平先生のスライド「デジタルシチズンシップの展望」

https://www.glocom.ac.jp/.../06/200619_TOYOFUKU_GLOCOMWS.pdf

 

今までの(教授的)教育からの脱却ができるか!?が学校現場に問われています。

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文部科学省「小学校プログラミング教育の手引(第2版)」のポイント

文科省「小学校プログラミング教育の手引(第二版)」

何度も読んでみると、これ、お世辞でなく、結構いい方向にまとまっていると思います。いかにポイントをまとめていきます。

ーーー
【理論的なポイント】
●プログラミング教育は資質能力「情報活用能力」の中に包含。コンピュータの仕組みの理解も大事。

→ICT活用の延長上にあると考えればいい(気持ち的には楽では?)。そしてコンピュータの「理解」と「活用」の両輪が回ることが大事。「利用と活用を貫く軸」がプログラミング。プログラミングだけやれば良いわけではなく、タブレットでお絵描きしたり、検索できたり、文章やポスターを作ったりする事も求められている。

 

●プログラミング教育の3観点。これは順番がある!

【知識及び技能】身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと。
【思考力、判断力、表現力等】発達の段階に即して、「プログラミング的思考」を育成すること。
【学びに向かう力、人間性等】発達の段階に即して、コンピュータの働きを、よりよい人生や社会づくりに生かそうとする態度を涵養すること。

→一見並列のように見えますが、これは順番が(間違いなく)ある。
「知って、できて」→「使いこなして」→「活用しようとする」
使いこなせないうちの「道具の活用方法を考えよう!」は教師側の押しつけの空論ですよね。大人都合にならないよう、子どもたちの発達段階となだらかな習熟に沿ったカリキュラムを組むことが大事!

 

【実践的なポイント】
●分類と様々なプログラミング環境が柔軟に表記された。

→「C分類などで慣れる→A分類でプログラミングを活用して学ぶ」という、ごく当たり前の流れが示されたのは大きい。

→事例の追加や、ビジュアル・テキスト言語の同等の扱いと、「プログラミングに関する多様な学習機会が、児童の興味・関心等に応じて提供されることが望まれる。」という、柔軟な対応を文科省が認めている。

 

【まとめ(私見・希望・懸念など)】
・プログラミングは子どもたちにとっての鉛筆や定規と同じような選択できる「道具」となるべき。
・GIGAスクールなどで一人一台PCが進められるという事は様々な道具を子どもたちが手に入れる機会。大人の都合で制限をかけるべきではない(もちろん情報モラルに触れる内容などは必須)。
・検索(初めて)と文字入力(不慣れ)のような、2重苦を強いるような実践は避けたい。プログラミングと日本語入力なども同様。丁寧に、楽しみながらICTに慣れ親しみ、仕組みを理解していくような、穏やかな導入を目指して欲しい。(竹早小の担当クラスは半角英数でプログラミング等を十分に楽しんでアルファベットと数字キーの位置を完璧にしてから、ローマ字表を与えることで、日本語入力を一気にマスターしてます)
・お絵かき・文書作成・検索等と同じようにプログラミングを使いこなせるようになれば、3観点を子どもたちが主体的に網羅してしまう。
・いつでも子どもたちがコンピュータが使える環境整備と教師側のマインドが大事。

 

↓文部科学省「小学校プログラミング教育の手引(第二版)」

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/11/06/1403162_02_1.pdf

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プログラミング教育って何ですか?

今年度に入り、東京都内や各都道府県の教育委員会さんで小学校でのプログラミング教育必修化に向けての教員研修をすることがさらに多くなっています。具体的な事例を聞きたいようで、どの団体でもスムーズに離陸できるような内容をお伝えしたいと思っています。

よく聞かれるのが「プログラミング教育って何ですか?」という事です。多い質問に対しての答えを以下に抜粋して書きます。(新学習指導要領の枠の中での話です)


・プログラミングの教科はできません。各教科や総合的な活動の時間で実施します。

・プログラミングの活動が公的文書で位置づけられているのは大きく2点です。1つは「情報活用能力の育成」の中に位置づけられた、「情報の科学的理解」への位置付け。もう1つは、教科の内容の理解に活用しながら、「プログラミング的思考」を養うという位置付け。
・各教科において、プログラミングができた。できないの評価は(基本的には)しません。評価するのは各教科の内容に関してです。
・総合的な活動の時間でやる場合には、情報活用等の評価基準に対する評価を記述等で行うことは可能です。

・具体的な事例は「未来の学びフォーラム」をはじめ、新しい認定教科書にも事例が掲載されています。

もっと、簡単にまとめると・・

●教育活動全体での「ICTの活用」は旧学習指導要領から言われてきたこと。

●プログラミング教育は「ICTの活用」をさらに発展させたということ。

●コンピュータを活用(ソフトウェア等を使って)するのに加えて、情報の科学的理解(コンピュータの原理)というコンピュータサイエンスの文脈が小学生の内容に盛り込まれたということ。
●活用(ソフトの利用)と、原理(コンピュータサイエンス)の両輪を回すための、軸になるのがプログラミング教育。両輪を回して、教育活動を推進しましょうというのが、プログラミング教育の意味。

それをつくるためには

①ICTがいつでも自由に使える環境(ペンやハサミと同じようにコンピュータが使える)

②基本的なスキル(文字入力やファイルの管理等)

③先生が率先して活用する様子を見せる

プログラミング教育の前に、実はICTを使いこなしておかなければ、子どもたちにとって、プログラミングは面倒な道具になってしまいます。

 

様々な実践例が、各学校でも行われるようになりましたが、

◎子どもが楽しんでプログラミングの活動をしているという事。

◎その楽しみは、思考錯誤した先に「わかった」「できた」という喜びから生まれるものであるという事。
◎どの子もできた!またやってみたい!便利!と思わせる事。

 

このあたりが担保できている活動であれば、現状において、小学校段階では十分なのではないかと思います。

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コンピュータは不器用である

プログラミングは、コンピュータの性質を知るために一番よい方法だと言える。

でも、その性質は決して人間にとって、楽で助かる側面だけではないはずだ。

プログラミングは、どこかの誰かが決めた「型」で、その型の通りに命令を与えないときちんと動かないか、冷酷にエラーを返してくる。

デバックは、その不器用で(愛おしい)性質を知るために必要なエラーを直す手続き。

コンピュータは「またエラーかよ!」なんて反応はしない。

だから、子どもたちは、何度でも何十回でも、トライアンドエラーをする。その中で、コンピュータとの付き合い方を体得していくわけだ。

楽で便利で困らないような、簡単な開発環境はいくらでもある。

でも、楽で便利で困らない開発環境では、コンピュータの性質に触ることは難しいし、その経験の先でコンピュータの不器用さと向き合った時、子ども達は逃げ出さず、真摯に向き合うことができるだろうか。

不器用さを十分知った上で、楽な環境に行ったって、問題はない。
でも、楽な環境から、その先に進めるか?


例えば、レトルトカレーやカップ麺だけで育った子がいたならば、進んで料理をするようになるだろうか。

小学校のプログラミング教育では「子どもができないから」という論で「楽」な活動が溢れている。

でも、それは「子どもができないから」ではなく、「大人ができないから」ではなかろうか。

プログラミング教育(教育とつけたのが失敗なんだな)が必修化されるが、「教科の内容理解のためにプログラミングを使う」となった段階で、不器用な性質を扱う事は排除されがち。


それで、本当に大丈夫なんだろうかと思う。
デバックの面倒臭さを通る事はかなり大事な事。

今までの教員研修会や講師として話す場でも伝えてきたが、これかもこの辺りは外さず、先生方に伝えていきたい。

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名  前 : 佐藤 正範  Masanori Sato

所  属 : 東京学芸大学 附属小学校

研究テーマ: 「小学生に対するプログラミングの学習」「STEM教育」「情報活用能力の育成」「ICT活用」

専門分野 : 初等教育,教育方法,技術教育,情報教育,プログラミング教育,メディア教育

       ハードウェア工学,科学技術コミュニケーション(CoSTEP7期本科修了)

         研究団体 : CIECコンピューター利用教育学会  情報処理学会

業  績 : 

佐藤正範 2017  小学校の教科に位置付けたテキスト入力型プログラミング言語の導入についての考察

 PC Conference2017,論文集,pp.149-150,2017.

 

     佐藤正範 2015  小学生へのプログラミングの学習における「足場かけ」の適用 [スライドはこちら]
      PC Conference2015,論文集,pp.165-166,2015.

 

  Masonri Sato 2014  Preliminary study of teaching a programming language in elementary education

 北海道大学 ソウル大学 台湾師範大学 ジョイントシンポジウム台北ポスター発表,12/2,2014.

 

   佐藤正範 2014 小学生のプログラミングの学習における 言語環境についての一考察 

   PC Conference2014,論文集,pp.168-171,2014.

 

   佐藤正範 2012 ものづくりコミュニケーションの可能性  

 PC Conference2012,論文集,pp.149-150,2012.

 

   竹本寛秋・佐藤正範・功刀基 2012 サイエンスコミュニケーター養成課程におけるデジタルゲーム制作実習の構築 

 PC Conference2012,論文集,pp.267-268,2007.

 

   佐藤正範 2007 私教育におけるロボットと教育の融合 

   PC Conference2007,論文集,2007,pp.215-218 

 

お問合せ : satonori(a)u-gakugei.ac.jp  "括弧aを@に変えてください" もしくはお問合せフォーム


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